「どうせ死ぬんだから」・・・と思うんだよね

四月から高校三年生になった長男。
高校三年生ということで、今の悩みは進路。
高校卒業に向けては、進路を決めなくてはいけません。
「高校三年生になったのに、進路が決まらない」
「将来やりたいことが見つからない」
「受験する大学や学部が決まらない」
進路を決めなければいけないけれど、何を勉強したいか、何の仕事に就きたいか自分でもわからずに決められない…
三者面談の度に・・・
長男が通う高校では年に2回以上、三者面談があり、そのたびに進路が話題になります。
我が家でも繰り返される話し合いの中で、ある程度、希望を絞ってきています。
長男自身の考えを尊重し、進路の方向性を決めてきたつもりでした。
でも、いつでも、迷うのは当然だし、ちゃんと迷って欲しい。
悩んでほしい。
進路選択は
進路選択はどうあれ、日々の学習では成績をよくする努力を求められています。
全国模試、英検、毎朝の小テスト、学内の定期考査・・・
クラスメイトとの話題も進路や成績のことが多くなってきたようです。
新学期が始まり、緊張感が増しているのが分かります。
先日、模試が終わり、自分ではそれなりの得点評価だったのですが、それ以上にクラスメイトの伸びが著しく、追い抜かれたらしいのです。
今までは教えてあげていたのに、立場が逆転した・・・と落ち込んでいました。
気分転換しているときにケガ
週末は、自分の趣味で気分転換しよう・・・とガンプラのカスタマイズをしていました。
カッターナイフで細かいパーツを削り、関節?接合部?の動きをスムースにするのだそうです。
数時間後、長男が慌てた様子で階下に降りてきました。
やってしまいました・・・・
見ると、右手で左手人差し指をぎゅっとおさえていますが、血の跡があります。
カッターナイフで指を切ったのはわかりましたが、その出血量は今まで長男が体験したことのないほど、ということで、かなり慌てていました。
とりあえず、そのおさえたまま10分ほど座らせ、私はその間に、カーゼやテープなどを揃えて、対処できるように用意しました。
そぉ~~~と右手を外すと・・・
先ほどまでのドクドクした出血は落ち着き、2センチ程度の傷口とじわっと出血してくるのが見えました。
可能な手当をして、今後の治癒経過を想像して話しました。
このまま傷口がついて、出血が止まれば受診はしなくて済みそうだけど・・・。
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気持ちが弱くなる
人間というのは、病気やケガをすると気弱になりますね。
手当が済んでも座ったまま動きません。
なんかさ、結局オレって、こうなるんだよね・・・。
・・・
いくら努力しても、やっぱ、能力の限界あるしさ。
おれ、自分の能力の限界に気がついちゃったし・・・・。
・・・・
努力してもさ・・・
どうせ人間は死ぬんだから、と思うと努力の意味さえも分からなくなるよ・・・
長男が心の声を漏らしました。
おぉ・・・
哲学少年・・・・
実際、そう思うでしょ?
オレさ、いくら頑張っても、もうこれ以上は無理なんだよね。
何をやってもどうせうまくいかないような気がするんだよね。
オレ、将来、何したいっていう、なんか、モチベーションなくってさ・・・
どうすればいいか、わからなくなってきた。
「限界」という言葉は、どうかと思うけど・・・
そっかぁ、将来や進路の悩みでモヤモヤしているんだねぇ。
そう簡単には決まらないし、決めつけて考えなくてもいいとは思うよ。
うんうん、でも安心しろ、
悩んでいるのはお前だけじゃない。
みんな悩んでいると思うぞ。
ただね、
「進路」=「就職」ではないからな。
就職だと一生を決めるみたいなイメージがあるからしんどいけど、
進路は、どうやって生きていくかみたいな、もっと大雑把な感じ。
まずは自分のやりたい事を見つけるとか、やってみる、という方向でいいんだけどな。
それが仕事になるかどうかは今はわからなくてもいいし。
きっとさ、思わぬケガをして、びっくりしたのと同時に落ち込んじゃったんでしょ?
なんか、自分はついてないなぁとか、これからも悪い事ばかり起きるんじゃないか、みたいな。
うん・・・
そういう気持ちにもなるでしょ?
実際、オレ、ついてないんだからさ・・・
進路のことで悩むのはいいことだけど、
人間、落ち込んでいるときは悪い事しか考えないから、考えない方がいいよ。
だって、もともとあなたの運勢は悪くないんだから、何やったってうまくいくに決まってる。
けがが治ったら考えればいいよ。
いや、お母さんのポジティブ思考は普通じゃないから。
そんな、簡単にチャチャチャって、考えたり結論出せなくて当たり前だし・・・。
・・・
どうせ死ぬんだから・・・って考え始めると、確かにそうなんだよね。
オレも時々そういうこと考えるから、何歳になっても・・・一生考えるのかもしれないな。
そうだよ、お母さんはよくそんな風に考えられるね(笑)。
うらやましいよ。
気にするな、
お母さんが普通じゃない。
おまえが普通だ(笑)。
どうせ死ぬんだから
長男の考えのように「どうせ死ぬんだから、努力して頑張っても、全ては水の泡になる。今している苦労や我慢は結局は報われないんじゃないか・・・頑張らなくても結果は同じでしょ」というのもあるし、
一方で、「どうせ死ぬんだから、今を、この瞬間を楽しみながら生きよう」というのもあり、北野武氏はその逆で、「どうせ死んで身軽になるんだから、生きているうちはヒドイ目に会おう辛く生きようと思っている」と言っている。
また、「どうせ死ぬのに、なぜ生きなくちゃいけないのか。」という問いもある。
特に、このコロナ禍、新型コロナ感染症に感染する可能性も含め、今までの価値観が大きく揺さぶられ「漠然とした不安」がぬぐいきれなくなり、多くの人々の悩みの根底に渦巻いているのではないかと感じています。
もちろん、私自身も感じています。
そして私、この頃、時代劇を観たいなぁとか、落語を聞きたいなぁ思うことが多いのです。
なぜかなぁと思っているのですが。。。。
先日書いた時代劇映画「柘榴坂の仇討」も「椿三十郎」も「隠し剣 鬼の爪」も、また落語の多くも、そこに登場する人物たちは「そこで、その中でただ生きている。その日をきちんと生きている。」のです。
おそらく、「ただ生きていく」ということが生きる意味であるということを、時代劇が私に教えてくれているように感じました。(てつがくぅ~~~笑)
息子にも時代劇が必要かもしれません。