勝ちの価値

ソフトテニス

昨日は、息子が小さなソフトテニスの大会で優勝した話を書きました。初めての優勝体験で浮かれてしまいましたが、ちょっと冷静に考えてみたくなりました。

スポーツ競技には結果として「勝った人」と「負けた人」がでます。また、息子たちのような学校の部活では「勝つ」ことが目標になっていて「目指せ、県大会出場」などと、勝つことで得られるものを目標にしている部活もあります。具体的な目標として「県大会出場」を掲げ、そのためには地区大会でベスト16に入らなければいけない。つまり3回戦以上勝たねばならぬ、ということ。

現在、阪神甲子園球場で行われている高校野球もそうです。負けたら「終わる」のです。日本一へ向かう次の試合をするためには「勝つ」しか方法はない。

ところで、これを読んでいる保護者・親御さんは子どものスポーツでの「勝ち」にどのくらい価値を持たせていますか?昨日の私は「優勝した息子を誇らしく思い、がんばっている息子に神様がご褒美をくれた。」と思いました。つまり、「勝ち」=「いいこと」=「価値のあるもの」と考えているんですね、今でも。

以前の私は、大会朝に送り出すとき、「頑張って(勝って)ね。」帰ってきたときは「どうだった?(何回勝った?)」とつい、勝利への期待を口にしていました。ひどい時は「なぜ負けたの?」なんて聞いたこともありました。自分がそう言っているときには気が付かなかったのですが、会場で応援している父兄たちを見たときに、我が身を振り返ることができたのです。

コートでプレイしている我が子へダメ出しをする親たち。

ソフトテニスも個人戦の場合、外からのコーチングはダメなのです。なのに、我が子以上に熱くなり、ああしろ、こうしろと指示だししちゃう親たち。失敗したら「そうじゃないだろ~」と怒声。ポイントを取った時は相手を威圧するほどの大袈裟なアクションで喜ぶ。例えば、サーブで相手がダブルフォルトでポイントを得たとき、本来はノーリアクションです。ですが、熱い親御さんは「ラッキ、ラッキー」と相手選手をディスります。私なんて、観覧席で観ていても、いつもキリキリ胃が締め付けられ、手には汗をかき、声など出せません。

親が「勝利」に大きな価値を置いているからこそ、熱い応援になるのでしょう。ひどい時は、ぺアを組んでいる親同士で、自分の子供の失敗を相手の親に謝っていて・・・。信じられない、意味のない光景があるんです。親の姿を子どもたちは見ています。恥ずかしくない態度で応援したいものです。

ところで、実は、昨夜高校生の息子がちょうど部活の合宿を終えて帰宅しました。そして暗い表情で部活を続けることへの迷いを口にしたのです。

中学の部活は楽しかった。自分が少しずつうまくなれたし、結果として勝てた。練習すれば強くなって勝てたから、練習することさえ楽しかった。でも、今は何のために練習しているのかわからない。自分の身になっているとは感じない。練習試合をしても、負けるとその原因は「練習不足」だとコーチから言われる。でもその練習はただノルマをさせるだけで、自分のしたいテニスをさせてくれない。というのです。

目標を見失っています。自信さえなくしています。コーチへの信頼もない。。。

何よりも勝つこと、を大目標として掲げるコーチの考えも一つの価値観。休日やほかのすべてを犠牲にした努力は尊い、困難な状況をあきらめずに得た勝ちこそが価値のある勝ちという考えです。 勝ちの価値を信じ、勝ちを目指して、日々練習する。その考えが、自分とチームメンバー、コーチで一致していた時はただ練習してきた。

 けれど、目指す姿、やりたいことが違うかもしれない。そして、勝ちの価値がわからなくなった。 何よりも、ソフトテニスが楽しくなくなっている。

日本のスポーツ界ではつらく苦しい血のにじむような努力をしたものだけが得られるものが勝利‼!と長く考え尊重されてきたと思います。ですが、一方で「脱スポ根」的な若者の成果もみられるようになってきています。実際、緊張しているはずの試合前のコメントで「(試合を)楽しみたい」「自分を信じて出し切りたい。」などと勝敗にこだわらない答えを聞くことが多くなってきたのではないでしょうか?あるいは、勝った選手が「楽しかった。」という場面も。

以前、国や多くの期待を背負って勝てなかったときに「(負けて)すみません。」など、と謝るオリンピック選手のコメントを聞いたこともあります。その言葉に背負っているプレッシャーの大きさが見えて、かわいそうに思うことも。なぜ?、誰に謝るの?。

勝ちとは何かを考えさせられる。勝利至上主義の良し悪しを議論するつもりはないが、周りの仲間やコーチが、どのような価値観を持って勝とうとしているのか聞けるといいのかもしれない。このままだと息子がソフトテニスを嫌いになるのではないかと、心配だ。ちょっと休んでみたらどうだろうか。

「楽しみながら勝つ」ができたらいいのになぁ。 もちろん、プロという立場になっている場合は、「勝つ」の価値は人生や生活に直結しているのでしょうから、まったくここで口をはさむつもりはありません。あくまでも、中学、高校の部活での「勝ち」の価値についての個人的な意見でした。

ソフトテニスをしている息子それぞれが何に価値をおき、どう取り組んでいくかを自分で考えてくれればいいな。お母さんは、がんばる息子たちのお弁当づくりをがんばるぞ。

来年は東京オリンピックが開催される。メダリストだけが注目されるというあの偏った報道が少なくなることを期待したいです。

ソフトテニス

Posted by カトラ