トイプー犬の耳トラブル~たれ耳に潜む病気
こんにちは、トイプードルを2匹飼っているカトラです(プロフィールはこちら)。
二匹のトイプードルのうち、今回は7歳になるお兄ちゃん犬のお話。 冬はこたつに入り、猫のようです。
先日、耳の病気が見つかり治療したのですが、獣医さんから「もうちょっと早く来て」と注意されたので、同じような症状がある犬の飼い主さんが少しでも早く受診できるように、我が家の事例をご紹介します。
この記事でわかること
・マラセチア中耳炎になった犬の症状と治療方法
・再発を繰り返さないためにできること
たれ耳犬がなりやすい耳の病気
周囲の音をしっかり聞くために「立ち耳」である方が犬らしいと言えるかもしれませんが、折れ曲がった垂れ耳の犬は、可愛くて人気の高い犬種が多いですね。我が家のトイプードルもその例です。
他にもキャバリア、ダックスフンド、シーズー、パグ、マルチーズ、ミニチュアシュナウザー、ビション・フリーゼ、ジャック・ラッセル・テリア、ビーグル、ゴールデン・レトリーバ、ドーベルマン・・・・
とにかく、かわいいたれ耳の犬たちは耳の中が蒸れて菌が繁殖しやすく、以下のような耳の病気にかかりやすいので飼い主の私たちは注意しなくてはいけません。
犬が耳をかいたり、頭を振ったりしていると、病気を引き起こしている可能性があります。耳を気にする仕草が見られたら、動物病院に連れて行ってあげましょう。
外耳炎
垂れ耳の犬種は耳アカの分泌量が多く、外耳炎になりやすいです。
外耳炎とは、外耳道が細菌や寄生虫、アレルギーなどによって炎症を起こす病気のこと。
症状は、黒い耳垢がびっしりたまったり、耳の内側が赤くなったり、かゆみのため耳をかきむしっている様子が見られたりするのが主な症状です。
外耳炎は犬の4頭に1頭がなるといわれるほど、発症率が高い病気です。
ちなみに、我が家のトイプーがかかった病気がコレ。「マラセチア性外耳炎」
耳アカがベタつくと細菌やマラセチアという菌が増えやすくなるからなんですって。
耳血腫(じけっしゅ)
免疫異常や強い刺激が原因となり、耳が腫れる病気。耳の平たく薄い部分である耳介の皮膚の間に血液がたまり、かたくふくれ上がるのが特徴。耳の打撲や耳を強くかくことで起こる可能性もあります。
中耳炎
鼓膜の内側にある中耳に炎症が起こる病気。外耳炎が慢性化し、中耳に炎症が広がって発症するケースも多いようです。
内耳炎
耳の最深部にある内耳が炎症を起こす病気です。内耳は聴覚の神経や平衡感覚を保つ役割があるため、内耳炎になると難聴になったり、体のバランスが保てなくなったりすることも。
発症する年齢は?
10才以上の犬は免疫機能もだいぶ下がっていますから当然耳の病気にもなりやすいと言われますが、それよりも若い犬でも耳の病気を発症することはあります。
犬の飼い主さんは、たれ耳の犬は「耳の病気になりやすい」という感覚をもっている方が、気をつけるきっかけとなり、病気の予防にもつながると思います。
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夜中、家中に響き渡るもだえ声
夜間、階下で眠る犬たち。
二階で寝ている私が朝起きていくまでおとなしく眠っているし、時には朝ご飯の用意ができるまで寝ているときもあります。
ある日、犬のもだえる様な鳴き声が夜中に響き渡りました。
数分くらい続くとしばらくは収まり、また思い出したように「うぇんうぇんうぉぉ~~~ん」と。
昼間も鳴きながら、片耳を後ろ足でガシガシかきむしるようにしている。
明らかに左耳だけが痒いらしい。
くさい・・・
痒がる左耳を持ち上げるとぷぅ~~~んとにおう。
生臭い、いやなにおいです。
耳の内側が赤く炎症を起こしている
耳の内側は、足で掻いたためか、赤くなっている。
その赤みは前日よりも強く広くなってしまっている。
耳垢
綿棒を使って、耳そうじをすると、耳垢がべっとり。
生臭くて、べっとりして、ご茶色の耳垢が綿棒にたくさんつきました。
かゆみ止まらず
昼も夜も、痒がる様子はいっこうに収まらず。
かといって、食事も散歩も、排便などそれ以外は何も変わらない。
数日は様子見ましたが収まる様子はなく、動物病院へ行くことにしました。
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紫色に染まる楕円
獣医さんに一通り症状を伝えると、いくつか質問されました。
食事、排便、体調の変化は?
散歩を嫌がるとかは?
最近何か変わったことはない?
もう一匹のワンちゃんは大丈夫?
特に他は変わりません。
ご飯もちゃんと食べるし、散歩も。
もう一匹の犬はなんともありません。
犬同士の感染症ではなさそうだし、
体調は特に悪くないね。
他に大きな病気はなさそうだし・・・。
そうなると・・・
耳の中に何か炎症をを起こす原因とか傷があるとか・・・
よくあるのが、カビですね。
なんというか、、、人間の水虫のような。
といっても、水虫ではなく、酵母なんですけど。
え?
犬にとっては当たり前にいる菌なんだけど、
蒸れたりとか、体調悪くて、数が増えちゃうと症状がでるカビ(酵母の)。
炎症だけなら抗生剤でいいんだけど
酵母の時は、それ専用の薬をつかいたい。
まずは、酵母かどうかを調べたいけど、いいですか?
といって、獣医さんが、耳垢をささっととって、顕微鏡用のプレートにのせ、
染色剤をおとして、顕微鏡をのぞく。
マラセチアでした
獣医さんのあとに顕微鏡をのぞかせてもらうと、楕円のようなだるまのようなものがうじゃうじゃと。
やはり、マラセチアという酵母でしたね。
このマラセチアは普段も犬には居ついている常在菌なんですって。
ですから、皮膚の表面にいてもおかしくないのですが、耳の中はマラセチアの栄養源となる耳垢腺からの油分がかなり豊富に分泌されており、さらにたれている耳なので中が蒸れやすくなって、マラセチアが繁殖しやすい環境になっているのです。
今回の我が家の犬のように、蒸し暑い時期に耳の中で増殖してしまい、症状がでることもある。一方で、犬側の免疫が下がって真菌が増殖してしまう場合もあるらしく、その時は免疫を下げてしまったもとの病気を見つけ、治療をしないと、治らないそうです。
まずは、酵母に効く成分とかゆみに効く成分が入ったお薬を試してください。
このお薬で2,3日ためしても症状が変わらないようだったら、他の原因を探します。
勝手に治るというのはあまりないようですから、治療と毎日のケアーが必要になります。
ビクタスS MTクリーム
処方された薬を、動物病院で先生が見せてくれた通りに自宅で1日1回耳に入れます。
その日に、犬が耳をかきむしる仕草はぐっと少なくなり夜中のもだえ声もなくなりました。
3日目には、赤みもほとんどなくなり、一安心。
1週間後、再受診し、他の場所の症状や、病気はなさそうだと確認してもらい、
トータル10日間お薬を続けて、治療終了となりました。
再発を防ぐためにできること
もし、ワンちゃんが耳を痒がるような仕草をしたら、耳アカがないか、臭いはないか調べてみてください。
「マラセチア性外耳炎」の時は、こげ茶色~黒色の生臭いような特徴的なニオイのあるネットリとした耳アカが一杯でてきます。
私は「犬の耳からマラセチアというカビの一種が出てきました。」と言われたときは、いったいどこでもらってしまったんだろうか。と思いましたが、このマラセチア菌は常在菌で、それ自体が悪さをすることはないのだそうです。
つまり、犬が耳をものすごく痒がったり、臭い耳アカが一杯出たりしたら「マラセチア性外耳炎」の可能性が高いので受診が必要ですが、実際に外耳炎の症状を起こしている原因は、マラセチア真菌というよりはマラセチアに好都合な環境がそろってしまい繁殖してしまうことです。
マラセチアに好ましい環境とは、湿潤で温かく、脂分の多いこと。
まさにたれ耳犬の耳の中の環境はマラセチア菌にとって格好の繁殖場所となりやすいわけです。
もともとわんちゃんの耳アカは脂分が多いですし、たれ耳犬の耳は湿っぽくなりやすいですからね。
マラセチアは常に存在する善玉菌だけれど、環境が整うと増殖してたくさん耳アカを作ってしまう。するとこの耳アカが耳に炎症を起こすわけです。
しかも、お薬(点耳薬)を入れて一旦良くなっても、止めるとまたマラセチア真菌が出て症状が悪化するし、カビとの接触に心当たりがなくても、マラセチア真菌性外耳炎が起こる、というわけです。
つまり、再発予防にできることは、マラセチアにとって増殖しやすい環境を作らないこと、早期発見で過剰なマラセチアを退治して症状を進行させないことですね。
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まとめ
今回、犬の症状が出始めてから受診するまでの数日。
獣医さんは、もっと早く来てもいいくらいだよ、と言っていました。
う~~~ん、なかなか、犬のカラダのことは難しい・・・。我が家がお世話になっている獣医さんがいつも聞くこと。
- ご飯をいつも通りたべているか。
- ウンチの色やかたさがいつもと同じか
- おしっこの色とか回数、量に変化があるか
- いつも通りの元気があるか
とにかく、いつもと違うかどうかが大事で、いつもよく見ていてくださいと言うことのようです。
今回は、「マラセチア菌による外耳炎」について書きましたが、マラセチアによる「皮膚炎」も犬と飼い主を悩ませるよくある症状です。
ところが、不思議なことに、マラセチア外耳炎は我が家の場合1匹の犬しかなりません。生活をほぼ一緒にしているもう1匹の犬に感染することはないのです。
マラセチア菌は犬から犬へ感染することもないし、犬から人間へ感染することもないそうです。
再発防止のためのチェックポイント<好環境を作らないこと、早期発見>
・耳アカの量、臭いを日々観察。
・耳の中のケア(綿棒で拭きとる程度で、奥まではやらなくていいそうです)
・シャンプーなどしたらよくふき取り、耳に水分を残さない。
・犬が耳をひどくかゆがったら早めに受診し、原因を特定し、適切な治療を受ける
・マラセチアは常在菌のため再発しやすい