親の介護、まずは介護保険の要介護認定申請をしなくっちゃ

親の介護

親の介護が始まる~。

という状況になったとき、私たちは「介護保険サービスを使いたいから申請しなくちゃ」と思うのですが、当の親世代は介護保険制度を知りません。

介護保険って、それ何?

日本の介護保険制度は2000年からスタートというせいぜい20数年前のことですから、80歳を過ぎた高齢者の記憶には「介護保険制度」はインプットされていないようです。

ただし、2008年に車全席でシートベルトの着用が義務化されていますが、これについては我が家の両親もインプットできているので、「介護保険制度」を知らないと言い張るのは、日常生活でお世話になる機会がなかったことが理由かもしれません。

とはいえ、大腿骨頚部骨折で入院した父の退院後の生活を考えると早急に(1ケ月以内)介護体制を整えなくてはならない状況になり、姉と相談しながらなんとか間に合わせた経過を書き残します。

mission
1.親の介護保険サービス申請をする。
2.介護認定調査を乗り切る。
3.介護サービスを受ける。

介護保険料払ってますよ

とりあえず、基本的な確認ですが、日本の介護保険制度は、昔は家族に任せてきた「介護」を社会全体で支える仕組みです。

この制度は2000年からスタートし、実際に私たちも40歳になってから「介護保険料」を払っていますよね。

40歳を過ぎると老化によって疾病にかかりやすくなり、介護が必要になる可能性が高くなるからですって。まぁ、ちょうど、自分の親に介護が必要になる可能性も高くなりますしね。

でもって、介護保険料の支払いは生涯続くんですよ~。
ただし支払い方法は65歳で変わります。
64歳までは健康保険料に介護保険料が上乗せされ、健康保険料と一緒に支払います。
65歳以降は健康保険料とは別に、介護保険料として自治体に支払うことになります。
実家の両親が住む自治体では年金から差し引かれるようです。
そして、介護保険料の金額も自治体によって異なるのですが、実家がある高齢化が進む自治体の保険料はすごく高いです。

祖父の時はなかった介護保険制度

私の祖父は1982年に老齢のため亡くなりましたが、5年間以上は要介護状態でした。

もちろん、当時は介護保険制度はなかったので、共働きの両親と私たち(10代でしたよ)で介護していました。

祖父は認知症が進み、おむつを嫌がり外して垂れ流し状態だったし、徘徊もあり、介護は手間がかかる方だったと思います。

ですから、苦労した両親にしてみると今度は子どもが親を介護するのは当然と思っているのです。

俺たちは親の面倒を最期まで家でみた。
子どもであるお前たちが我々親を介護するのは当然だ。

日本には介護保険制度がある。
介護保険料を毎月払っているでしょ?
介護認定を受けたら介護サービスを受けられるんだから。
実際、私たちだけで介護するのはムリ。
行政の支援は受けるべきだよ。

本当にこの「介護保険制度」の仕組みを、認知症のある86歳の両親に説明するのは大変でした。

特に父は公務員として役所で働いていたのですが、介護保険が導入されたのは退職後です。

そんな「制度」があるなんて、オレは知らなんだよ。
そうかい、ほんとかい?

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介護の義務って

直系血族と要介護者の関係
https://www.cocofump.co.jp/articles/kaigo/59/

法律的には、「要介護者」の介護は、直系家族、夫婦、兄弟姉妹に介護(不要・扶助)の義務があります。

つまり、親の介護は子どもにも「扶養・扶助」の義務があるということです。

一方、義両親の介護は、嫁にその義務はないのです。昔は嫁がやって当然、みたいなところありましたけどね。

 さて、では実際の介護(扶養・扶助)ですが、1つは身の回りの世話をして面倒を見ること、そしてもう1つは経済、「お金」を援助する義務です。

ただし、扶養義務を負う本人が、社会的地位や収入に応じた生活ができる範囲での支援・扶養とされているので、子どもの生活を犠牲にする必要はない、ということです。

ということで私たち姉妹は、「介護保険サービス」を利用して、できるところまでは本人たちが希望する自宅での生活維持を目指すことにしました。

あの両親と一緒に暮らすのはムリ。
できるだけ通いでやるからさぁ。

<姉>
わかってる。
今の二人と一緒の生活はストレスがたまるわ。
まだもう少しは両親二人の生活で大丈夫じゃない?

介護が始まる時、始まったときには介護者側の兄弟間トラブルが起こるそうです。

今後は私も姉とそうなるかもしれませんが、現時点では目指す介護生活のイメージがだいたい同じです。

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介護認定調査の申請

さて、実際に父の骨折入院から退院までの1ケ月は大忙しでした。

実際に調整がうまく運んだ理由は病院のソーシャルワーカーの動きがキーだったと思います。

入院当日の提出書類の中に、「ソーシャルワーカー(SW)との面談を希望するかどうか」の項目があり、そこにチェックをつけておいただけなのですが、手術当日の家族待機場所にSWが来てくれて、今後の話をすることができました。

そこで、介護認定調査を希望する意向を伝えたことで、SWから自治体保健師へ連絡をするなどその後の調整すべてを進めてくれたので大変助かりました。SWは医師から家族への説明にもすべて同席し、コロナ禍における院内で父がどう過ごしているかなどもわざわざ知らせてくれました。実際、退院後の再受診の際もこちらからは知らせてなかったのですが、SWは整形外科外来まで様子を見に来て挨拶をかわしました。

介護認定調査

ところで、介護保険の認定調査は、要介護認定のために行われる調査です。要介護認定というのは、介護保険サービスの利用希望者に対して「どのような介護が、どの程度必要か」を判定するためのものです。

65歳になると「介護保険被保険者証」が交付されますが、実際に介護保険サービスの利用をしたい際は、まず要介護認定を受けて、「要介護」または「要支援」の判定をもらう必要があります。

要介護認定の判定方法

要介護認定の判定では、まず「介護保険要介護・要支援認定申請書」を市区町村の 窓口に提出します。
その後、市区町村の職員や委託されたケアマネジャーなどが認定調査員として自宅を訪れ、聞き取りによる認定調査をします。

一次判定

市区町村の担当者による聞き取り調査(認定調査)とかかりつけ医が作成する主治医意見書をもとに、コンピューターが介護にかかると想定される時間(要介護認定等基準時間)を推計して算出し、この時間をもとに要支援1~要介護5に分類します。

二次判定

一次判定の結果と主治医意見書をもとに、介護認定審査会が二次判定を行うという流れです。介護認定審査会は、医療・保険・福祉の学識経験者で構成されています。
その後、認定結果通知書と認定結果が記載された被保険者証が送付されます。書類の到着は、要介護認定の申請日から30日以内が目安です。

要介護認定の区分は

要介護認定は、介護を必要とする度合いによって、7つに区分されています。
「要支援1~2」と「要介護1~5」です。区分によって受けられるサービスの内容や支給限度額が変わります。

さて、認定調査当日

まず、父の認定調査はコロナ禍の病院で入院中に実施しました。

ですから、ベッド上の父の横に看護師が付き添い、オンラインでの面談のため聞き取りにくいケアマネからの質問や指示を受けて回答を手伝ってくれました。

退院後に父に確認したのですが、本人は認定調査を受けたとは思っていなかったそうです。

オレは調査なんて受けたかい?
受けてないぞ。

記憶があやふやなのは認知症の影響もありますが、当日は場所や名前、季節などすべて間違わずに言えていました。

なんで今日はこんなにクリアに答えられるんだろう・・・。

一方、母の場合。もともと介護認定を受けることに抵抗を示していたため、父の認定調査が終わった数日後、介護用品を借りる予定の業者が自宅へ来るタイミングでケアマネに調査をしてもらうことにしました。

後で母が話していたのですが、認定調査を受けているとは思っていなかったようです。

ケアマネさんだか、誰だか知らないけれど、いろいろ聞かれたから答えただけ。
いろいろ聞かれてなんだかいい気分じゃなかった。

確かに、半分怒った口調で延々と自論をしゃべり続けていたので、調査自体は2時間くらいかかっていましたし、ケアマネさんも大変だったと思います。

認定調査は「普段どおりの生活」を見てもらうためのもの。

あえて重くアピールする必要もありませんが、むしろ、“なにも困っていない元気な私”を全力でアピールする母。

まぁ、これは認定調査あるあるだと聞きいたことがありますけどね。
「いつもはベッドで寝たきりに近い状態の親が突然立ち上がった」など、“アルプスの少女ハイジのクララ”もビックリのエピソードも、決して珍しくないそうですぞ。

まぁ、認定調査では、介護が必要かどうか、必要であればどれくらい必要なのかをチェックするので、私たち介護する側が具体的なエピソードを細かく伝えることも大切です。つまり、「できる・できない」といった項目チェック以上に、介護の手間の増加の根拠となる「特記事項」をどれだけかけるかが肝なので、「エピソード」をたくさんもらうと書きやすい、とケアマネさんが言っていましたよ。
私は、母がお風呂のお湯を何度もあふれさせたことや近所の人とのトラブルの内容、買い物の支払いエピソードなど見守り介護が不可避であることを話しました。

認定結果が出る前にサービス利用開始

父は大腿骨頚部骨折をして骨折部は3本のボルト固定をしました。

1ケ月間の入院で、歩行器を使いながらの移動はできるようになりましたが、退院直前の医師の見立てでは自宅での入浴は不可能でした。

ということで、退院早々のデイサービス利用(目的は入浴)を父も私たちも希望しました。

実際、数日後の利用開始となったわけですが、「認定結果が記載された被保険者証」は1ケ月以上後に届きました。

実は、要介護認定の申請を提出すると、認定結果が出る前であってもサービスを利用できる場合があるそうです。

要介護認定は、原則として申請から30日以内に決定されますが、要介護認定の効力は申請日に遡るので、申請時点から介護サービスの利用が可能なのだとか。
介護度の見込みを立てた上で暫定のケアプランを作成してもらって、サービスを利用することができるそうです。

もちろん、認定結果が介護度の見込みと相違があったり、非該当(自立)であった場合は、差額の費用については全額自己負担となるそうです。

実際、父も「要介護1」をケアマネさんが見立てていましたが、結果は「要支援2」でした。

あのお風呂はいいぞ、機械で持ち上げてお風呂にいれてもらうんだ。
オレも、職員もラクチンだ。

デイサービスに行くと、言われたことしかできない。
それになんでもやってもらうからバカになりそう。

母親は何に対してもまず不平不満を言う性格ですから、そういうと思っていました。

これからお世話になるのは

上にも書いた通り介護サービス利用開始は認定結果が出る前でも可能だが、介護認定審査会→認定結果通知書・被保険者証送付→ケアマネージャ(介護支援専門員)が介護プランをたててくれる、という流れになる。そして、それによって、やっと介護保険を利用した介護が受けられる。

つまり、実際に介護が開始されるまでに家族が接触する、市町村の保健師、医師、認定調査員、介護施設(介護サービス事業者)のケアマネージャーのどれも直接に介護に携わるわけではなく、介護にたずさわるのは介護施設(介護サービス事業者)の介護士です。両親の場合はデイサービスの看護師や介護士の職員さんたちです。

幼稚園に通った子どもたちに持たせた「連絡帳」のようなものを、両親もデイサービスへ持っていきますが、毎回丁寧に様子を知らせてくれます。手書きですから職員さんの負担ではないだろうか、と心配になるほどですが、連絡帳で様子がわかるのは、子どもでも老親でも安心します。みなさんにお世話になりながら介護生活が始まりました。

Posted by カトラ