更年期と歯周病~女性ホルモンはお口の健康もおびやかす

健康

こんにちは、トイプードルを2匹飼っているカトラです(プロフィールはこちら)。

生涯を通じて女性は、女性ホルモンの影響を大きく受け、月経だけでなく、気分が落ち込んだり、体調がすぐれない場合もありますよね。このように女性ホルモンは体全体に影響を及ぼしているのですが、今回は女性ホルモンとお口の健康についてのお話です。

実は女性の人生にはホルモンバランスの影響で歯周病になりやすい時期が何回か訪れます。大きくは、思春期妊娠・出産、そして更年期の3回。そして、ふだんの月経周期でもホルモンバランスは変化するため、生理前に歯ぐきが腫れたり出血しやすくなる人もいますよね。これも歯周病危機のサインです。

思春期、妊娠・出産期の危機を既に過ぎた更年期の私たちは3度目の「歯周病」危機の真っただ中にいるので、それを意識して、適切なケアをしなくてはなりません。

ご存じの通り、「歯周病」は大切な歯を失うだけではない、放っておくと命も脅かす怖い病気です。
健康の第一歩はお口の健康、とは言い過ぎかもしれませんが、お口の健康は自分で気を付けることができます。

今回は、更年期こそ「お口の健康」をまもるための適切なケアが大事であること理解していただけるように健康情報伝達活動していきます。

この記事を読むとわかること

・更年期は「お口の健康」の危機である、ということ。

・更年期の「お口の健康」を守るための適切なケアの方法。

ホルモンバランスに影響される女性の歯の一生   

更年期を迎えつくづく思うのですが、女性の人生は女性ホルモンの影響を受け、心身ともに翻弄されていますよね。
例えば「エストロゲン」という女性ホルモンは、「女性らしさ」の大元のホルモンで、女性らしい体型を作ったり、乳房を発達させたり、骨の量をふやしたり、身体にうるおいをもたらしたりしています。
まぁ言い方を変えると、女性ホルモンルモンは女性のカラダと健康にとってたいせつな役割を担っている、ということですね。

さて、そんな影響力のある女性ホルモンとお口の健康に注目すると、
女性ホルモンの分泌が増える時期には歯周病のリスクが高まる、という関連があります

 女性ホルモンは 歯茎と歯の間から少しずつ染み出しているそうです。そして、 歯周病の原因菌の中には女性ホルモンをエサにするものがある。だから、月経時期に女性ホルモンが多くなるとエサが増えた歯周病菌がより繁殖するために、歯肉の炎症が増悪してうづくような感じとか、歯茎からの出血も多くなる、というわけです。

私は、40歳の歯科検診で歯槽膿漏を指摘されてから、歯肉からの出血を気にするようになりました。
そして自分の月経周期と歯肉出血の関係をはっきり感じるようになりました。本当に、月経が始まる前は歯茎がうずくような感じが強くあったし、実際に死肉出血がよくありました。そして、月経のころにはそれらが収まってくるんですよね。

つまり、歯周病菌は女性ホルモンを栄養源として好むため、女性ホルモンの分泌が増える思春期や妊娠期、月経前に歯周病のリスクが高まり、適切なケアをしないと歯周病が増えるのは理解できましたね。

では次に、女性ホルモンが減少してくる更年期と歯周病の関連はどうでしょうか?

結果的に言うとやはり更年期も歯周病リスクは高いです。
なぜなら、女性ホルモンの低下により、口腔内の防御機構が下がってしまうからです。

普段、口の中は唾液の働きで健康に守られています
しかし、更年期になり体に潤いを与える女性ホルモンが減るということは、口の中の潤いも減る、つまり唾液の分泌が減り乾燥し、いわゆるドライマウスになりやすくなります。唾液には、口腔内を浄化する作用もあるのですが、唾液が少なくなると、口腔内は汚れがたまり、細菌繁殖が盛んになり、歯周病の原因になっていくわけです。

整理すると、歯周病は、口の中にいる数十種類もの歯周病細菌群による「感染症」ですが、ドライマウス状態の口腔内に歯周病菌がいたら、唾液の自浄作用、抗菌作用などが働かず、細菌群は繁殖しやすくなるわけです…
実際、栄養になる女性ホルモンが少なくても、歯垢(プラーク)がたくさんありさえすれば歯周病歯垢の中で増える、それに加え、唾液分泌が少なかったら浄化されず、歯周病菌が増殖し放題、です。

これが更年期のドライマウスによる歯周病危機増大説です。

更年期の歯周病を助長する因子

ところが、更年期の歯周病の原因は、女性ホルモンが減り唾液分泌が減少するドライマウスによるものだけではありません。

更年期の女性ホルモンの減少により全身の骨密度の低下が進みます。もちろん、あごの骨の骨密度も低下します。
すると、するとあごの骨の一部である、歯を支えている歯槽骨がもろくなっていきます。

そうです、更年期の口腔内では唾液浄化されなかった歯周病菌が増殖し、歯槽骨や歯肉に炎症を起こしているわけですが、その歯槽骨自体が溶けてもろくなっているのですから歯を支えきれず、歯周病の悪化は避けがたく、歯を失うことにもなりかねません。

これも更年期歯周病危機増悪説を支える身体的変化です。

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更年期はドライマウスによる虫歯などにも注意

更年期、女性ホルモンのバランスが乱れると唾液の分泌が減って、口の中が乾燥してドライマウスになると歯周病が悪化する可能性があると書きました。
更年期によるドライマウスで、女性を苦しめるのは歯周病だけではありません。

唾液には浄化作用・殺菌作用があるため、ドライマウスになって唾液が不足すると細菌が繁殖しやすくなり、歯周病の悪化だけでなく、口臭や虫歯なども引き起こりやすくなっています。

また、ドライマウスがひどくなると、舌や口の中全体がヒリヒリする、食べ物が飲み込みにくくなる、味がわからなくなるしゃべりにくくなるなどの症状が現れ、日常生活に影響が及ぶこともあります。

コロナ禍の今はマスクをしていることが多く、この「口臭」を気にすることは少なかったかもしれませんが、会話の最中に、たとえ家族であっても「口からイやな臭いがしていないかしら。」と気になりだすと、なかなか心配は消えませんよね。

実際に口臭は心配で会話ができない、というこちら側の心配ばかりでなく、むしろ「お口がくさい人」に限って、本人は口臭があることに気づいていないことがあります。
そして口臭がひどいことを指摘してくれる人もなかなかいないので口臭が改善されず、ずっと人に嫌がられたまま……なんてことになっていることも…

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歯周病の治療

私が40歳の検診で歯槽膿漏(歯周病の中で症状が進んだ状態)を指摘されたとき、数週間をかけて治療をしました。

自覚症状は、歯茎から時々出血したり、うずき感がありましたし、歯周ポケットもかなり深いと言われ、数本はぐらつき感もありました。でも虫歯はありませんでした。

ただ、症状としては歯周病菌が歯茎の奥深いところまで侵入しているため、見える範囲のお掃除やブラッシングだけでは治療にならないという説明でした。

で、実際に何をされたかというと、歯肉縁下のプラークや歯石をゴイゴイと掻き出されるわけです。

これが痛いのなんのって・・・

確かに麻酔をしてもらったはずですが、「痛かった」という記憶しか残っていません。
1週間に1回、2ケ月くらい通ったかなぁ。

あんな痛い治療をするくらいなら・・・とそれからはできる限り歯磨きを頑張っています。

歯周病が引き起こす全身の病気

歯周病の治療はつらいという情報に加え、歯周病が全身の病気や命を脅かす病気の原因になることがわかっているので紹介します。

実は、口腔内の悪玉菌である虫歯菌は、歯の表面に血液が通っていないため、全身に巡ることはありません。

しかし同じ口腔内でも歯周病菌は口の中で炎症を起こし、その炎症によって出てくる毒性物質が歯肉の血管からアッという間に全身に届き、様々な病気を引き起こしたり悪化させる原因となっているのです。

炎症性物質は、血糖値を下げるインスリンの働きを悪くさせたり(糖尿病)、血管の動脈硬化(心筋梗塞・脳梗塞)の原因となったり、がんの浸潤・転移、インフルエンザほかのウイルス感染症、骨粗鬆症、早産・低体重児出産などを誘発することが多くの研究からわかってきています。

歯周病菌のなかには、誤嚥により気管支から肺にたどり着くものもあり、高齢者の死亡原因でもある誤嚥性肺炎の原因となっていますから、水が使えず歯磨きが思うようにできない災害時は特に、高齢者の口腔内の清潔保持がとても重要な視点になっています。

また、あるタンパク質分解酵素をもつ歯周病菌が、アルツハイマー病悪化の引き金をもつ可能性を示唆されており、歯周病と認知症の関連も注視されていますね。

更年期に必要な歯周病ケア

ここまで、更年期は歯周病が増悪しやすい時期であることを説明してきました。
そして、歯周病は、歯を失う可能性だけでなく、命をも脅かす病気であることもわかっています。

ということで、更年期は「歯周病」予防と治療が大事だとわかってもらえたでしょうか。

日常のケア

歯周病菌は歯垢(プラーク)の中で増えていきます。

歯磨きをしなかったり雑にすると、歯と歯茎の溝の中にびっしりと常在菌からなる歯垢(プラーク)がつきますね。
歯垢には善玉と悪玉があり、1~2日は善玉菌が守りますが、1週間もすると悪玉菌の割合が増加してくる。
悪玉菌が増えると炎症が起こり、炎症物質がどんどん出てきて悪さをするってわけです。
歯肉のうずきだったり、出血だったり、歯周病が進んでいきます。

一方、歯周病は歯垢(プラーク)が残存しない清潔な口の中では起こらないとか、起こったとしても軽度、と言われています。
私自身の体験から、歯周病治療で歯周ポケット内のプラークを除去して10年経ちますが、歯肉炎の進行は指摘されていません。

つまりここでわかることは「更年期の歯周病予防には歯垢(プラーク)を付けないこと、除去が大切」

テレビのコマーシャルのようで恐縮ですが、更年期もやはり「プラークコントロール(歯垢除去)が歯周病予防になる」ということです。

電動歯ブラシは有能

常にしっかりと歯垢(プラーク)を除去することが非常に大切ということはわかりましたが、実は、手みがきでは50%程度しか歯垢(プラーク)を取り除くことができないともいわれます。

私自身も手みがきではなく電動歯ブラシを選択しています。
一度電動歯ブラシを使ってしまうと、手みがきに戻れません。

電動歯ブラシの性能や使い心地など、選ぶ基準は異なると思いますが、
歯の表面は本当にツルツルになるし、手みがきよりも実は「圧」がかかっていないので歯肉傷つけずにほどよいマッサージ効果もあります。

そして、歯科衛生さんからは「デンタルフロスを使ってください」と言われたため、洗面所に用意して時々使っています。
フロスによる歯間ケアがいつの頃からかラクになりました。
実は年を重ね、ピンクのあの部分、歯肉が下がってきているということなんですよね。

更年期になったらフロスを使ったお掃除が必要、ってことです。

検診は大事

私が住む松本市では、30・40・50・60・70歳になる方に歯科検診のお知らせが届きます。
その券を持っていくと500円で歯および歯肉の検査、検診結果の説明、歯みがき等の指導を受けられます。

私も40歳で利用し、そこで「歯周病」を指摘されたため、しっかり治療ができたわけです。

その後は、定期的に歯科通院し、プラーク除去をしてもらったり、歯磨き指導を受けています。

やはり、年に数回はちゃんとプロに診てもらうと自分の足りないところもわかるし、異常の早期発見、早期治療ができる利点があります。

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まとめ

「歯周病」は歯が抜ける原因ですが、それだけではなく、時には命を脅かす病気の原因にもなる。

歯周病予防のために歯周病菌が増殖する歯垢を取り除く「プラークコントロール(歯垢除去)」が重要。

歯垢をためないように日々のセルフケア、歯みがきが大切。きっと今までも歯磨き、してきましたよね。

ところが、更年期は女性ホルモンが減少してくるために、唾液が減少したり、あごの骨が弱くなったりして「歯周病」が増悪しやすい時期。

今までと同じように歯磨きによるセルフケアを続けて、という結論ですが、ここで言いたいことは、

「歯みがきしているから大丈夫」という過信を持たず、危機状況にある更年期にいることを意識し、自分の体の変化を見逃さないようにしてほしい、ということです。「フロス」による歯間のお掃除も大事。

「歯周病」は、早期発見、早期治療をすると改善します(10年前に経験)。

ところで、私たちは、とにかく不調を感じているアラフィフです。
あちらもこちらもつらい症状がある。
そのなかでも、「歯・口腔」に症状が出るときもあります。

実は必ずしもそれが「歯周病」ではないときもあるんです。

「口腔心身症(歯科心身症)」ってご存じですか?

口腔心身症とは、心因的な原因からくる口腔領域の症状を総称していいます。
口の中やあご、歯に関する症状が、精神的なストレスからきているとは、悩まれているご本人も自覚できていないケースが多くあります。
また、検査をしても具体的な病気が特定されず、「異常はない」ということになります。

違和感があることは間違いないのですが、知覚過敏になっている、錯覚していることも考えられます。

体調不良の症状の一部として口の中に何らかの不具合が出てきているものですから、
例えば、噛みしめや歯ぎしりから来る歯の痛み、知覚過敏、歯がグラグラ、口が開かない、口内炎、口が渇く、舌がザラザラする等です。それと同時に、全身症状で、不眠症、頭痛、肩こり、耳鳴り、めまい、ドライアイ、胃腸の不良等を訴えることもあるようです。

しかし、本来「歯科的には異常なし」という状況でも、歯が痛いと訴えた場合、必要がなくても歯を削ったり虫歯治療をされてしまうかもしれません。

現実的には、口腔に関する症状が出ているのですが、原因の発端をさぐっていくと、社会的なストレスや心理的な因子が関与していることがあります。

私は疲れた時にはよく親知らずが痛みます。
治療が必要なレベルではないのですが、体からのサインとして受け止めています。

いずれにしても、口腔内の違和感は歯科へ行って相談することをお勧めします。

しかし、更年期の私たちは不必要な治療をされないためにも、信頼できるかかりつけ歯科医を選ぶことが大事です。

更年期の歯周病予防ケアのポイント

・歯みがき(私は電動歯ブラシ
フロスで歯間掃除
・歯科定期検診で信頼できるプロのチェックと指導(私は1年に2回行きます)

加齢は止めることはできませんが、歯の健康は自分で守る行動を選ぶことができます。

Posted by カトラ